投資を始めて1年目。人に勧められた鉄鋼株を買った。

その株は、二期連続で減配した。

正直に言うと、売却を検討した。でも、今も持っている。

あのとき売らなかったのは、粘り強かったからでも、含み損を認めたくなかったからでもない。 そもそも「1銘柄だけを見ていた」ことに気づいたからだ。

① 投資1年目、人の話を鵜呑みにして買った

買った理由は2つだけだった。

それ以上のことは、正直なにも調べていない。配当性向も、過去に減配した経験があるかも、業績がどう推移しているかも見ていなかった。

今になって思えば、これは「自分で判断していない」状態だった。人の話は情報としてありがたい。でも、その情報を自分で確かめないまま買うと、下がったときに持ち続ける理由が自分の中にない

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SNSやYouTubeで銘柄を知って買うこと自体は悪くない。問題はそこで止まってしまうこと。勧められた銘柄を、自分の目でもう一度確かめる。それをやっていなかったのが1年目の自分だった。

② 二期連続の減配。売却を検討した

買ってしばらくして、減配の発表があった。そして翌期も減配された。

高配当株を買う目的は配当だ。その配当が2年続けて減れば、持っている理由そのものが揺らぐ。実際、そのときは売却を検討した

減配は「起こりうること」であって「異常事態」ではない。企業の業績が落ちれば配当も減る。高配当株に投資する以上、この可能性はゼロにはならない。「売らない」が最強の投資戦略で書いたとおり、慌てて動くことが一番の損につながることもある。

③ でも、見ていたのは1銘柄だけだった

売るかどうかを考えているとき、あることに気づいた。

自分はその1銘柄の成績だけを見て、良い・悪いを判断しようとしていた。

けれど自分が目指しているのは、1銘柄で勝つことではない。配当を受け取り続けられる仕組みをつくることだ。だとしたら、判断する単位は1銘柄ではなくポートフォリオ全体のはずだった。

判断する単位を間違えていた。1銘柄が減配したかどうかではなく、ポートフォリオ全体が配当を生み続けられているかどうかを見るべきだった。

④ 景気は循環する

そして、買った銘柄は鉄鋼だった。

景気には波がある。調子の良いセクターと、悪いセクターが常に入れ替わる。そして今どちらの局面にいるかは、あとになってからしか分からない。

つまり、ポートフォリオのどこかは必ず調子が悪い。それは失敗ではなく、分散して持っていれば当たり前に起きることだ。

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全部の銘柄が同時に絶好調なポートフォリオは、たぶん偏っているだけ。どこかが沈んでいるのが普通だと分かってから、減配の受け止め方が変わった。

⑤ 伸びているセクターばかり買うと偏る

ここで気をつけたいのが、調子のいいセクターばかり買い足してしまうことだ。

上がっている銘柄を買うのは気持ちがいい。数字もすぐについてくる。でもそれを続けると、ポートフォリオの中身が特定のセクターに寄っていく。そしてそのセクターが下げる番が来たとき、全体が同時に沈む

短期では気持ちよくても、長い目で見るとよくない。

個別株でセクターを組むのが難しいと感じるなら、高配当ETF(VYM・HDV・SPYD)という選択肢もある。1本で分散が効くぶん、偏りは起きにくい。

⑥ 見るべきは「その時々の財務優良な割安銘柄」

では何を買えばいいのか。自分の答えはこうだ。

その時その時の、財務が優良で割安な銘柄を買う。
そしてポートフォリオ全体のバランスを見ながら育てていく。

「今どのセクターが伸びるか」を当てにいくのではなく、そのときに条件を満たしている銘柄を、足りていないセクターから選ぶ。当てにいかないぶん、外れても崩れない。

実際に、割安で財務の良い銘柄を長く持ち続けるとどうなるかは、割安×財務優良銘柄が18年で9.8倍になった理由にまとめている。派手さはないが、これがいちばん確かな積み上げ方だと思っている。

⑦ 育った高配当株たちは、助け合って働く

そうやって少しずつ買い足していった結果、現在は88銘柄・26業種に分散している。

この状態になって分かったことがある。

調子のいい銘柄も、悪い銘柄も含めて、全体がしっかり助け合って働いてくれる。どこかが減配しても、別のどこかが増配している。全部が同時に沈むことがないから、配当は途切れない。

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1銘柄ずつ見ていたら一喜一憂で終わる。チームとして見ると景色が変わる。誰かの調子が悪い時は、誰かがカバーしてくれている。

実際に受け取っている配当額は配当金実績を全公開、保有している中身はポートフォリオ全公開にまとめている。

⑧ 今チェックしている2つのこと

正直に書くと、銘柄の選び方そのものは大きく変えていない。財務が優良で割安、という軸は同じだ。

ただ、あの経験のあとから必ず見るようになったことが2つある。

減配を経験してから、必ず見るようになった2つ

① 配当性向 利益のうち、どれくらいを配当に回しているか。この数字が高すぎる銘柄は、利益が少し減っただけで配当を維持できなくなる。利回りの高さより、その配当に無理がないかを見る。
② 過去の減配歴 リーマンショックやコロナのような局面、あるいは自社の業績が悪化したとき、その会社は配当を減らしたか。過去に踏みとどまった会社と、すぐ減らした会社では、次に苦しくなったときの行動も変わってくる。

この2つは、高配当株とは?選び方の5つの基準で挙げている考え方とも重なる部分だ。利回りという「結果の数字」ではなく、その配当が続くかどうかを見にいくための項目になっている。

⑨ まとめ:減配は失敗ではなかった

投資1年目に、人の話を鵜呑みにして買った鉄鋼株。二期連続で減配され、売却を検討した。

でも今も持っている。そして、その経験があったから1銘柄ではなくポートフォリオ全体で見るという考え方に変わった。

投資1年目の自分
  • 利回りの高さで選ぶ
  • 人の話をそのまま信じる
  • 1銘柄の成績で一喜一憂する
  • 減配=失敗だと思う
今の自分
  • 配当性向と減配歴を確認する
  • 自分の目で確かめてから買う
  • ポートフォリオ全体で見る
  • 88銘柄・26業種に分散している

あの減配は、失敗ではなく「見る単位が変わった出来事」だった。

もし今、持っている高配当株が減配して不安になっているなら、一度だけ視点を引いてみてほしい。その1銘柄ではなく、自分のポートフォリオ全体が配当を生み続けられているか。判断すべきなのは、たぶんそっちだ。

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1本の木を見て焦るのではなく、森ごと育てる。時間はかかるが、そうやって育てた高配当株たちは、ちゃんと働いてお金を稼いできてくれる。